デジタルヘルス解説集 東京慈恵会医科大学 先端技術情報研究部

RWD

Real World Dataの略。ここでの「Real World」とは診療現場のことで、つまり、診療現場で行われる診療行為の結果として記録される様々なデータのことを指す。具体的には医療機関が記録する電子カルテ情報、調剤薬局が記録する調剤情報、医療保険の運営者が持つ被保険者の情報などがある。

これらのデータは臨床試験等の条件を揃えたなかで得られるものとは違い、集団の偏りが補正されていなかったり、データ自体にも不完全なものも含まれる。がその一方、まさに現場でどのように診療と処方が行われ、結果どうなったかを把握しうるものとして非常に価値がある。近年、保健医療の効率化や適正化、新薬開発の効率化などを目的に、RWDの統合的解析を進める動きが活発化している。

政府も、医療保険制度に基づいて請求されたレセプト(診療情報明細書)を審査する審査支払機関を運用していることから、こうしたRWDを解析する基盤を構築する「データヘルス改革」を進めている。その一環として、レセプト情報や特定健診情報を医療機関、各保険者から収集しデータベース化(National Database = NDBと呼称)し、オープンデータとして2016年から公開、適宜更新している。
 電子カルテ情報、レセプト情報、DPC(診断群分類包括評価 = 入院医療費の定額評価)制度に参加している一部の病院の診療情報を収集し解析する「MID-NET®」も構築されており、利用希望者(医療機関、企業)が一定の手続きを取れば利活用できるようになった。

政府では医療機関が持つRWDについて、個人情報を適切に保護しながらさらなる利活用を進めるため、2017年に「次世代医療基盤法(正式名称:医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律)」を制定。対象となる情報の規定と、個人情報の保護方法(具体的には匿名化技術)を定め、情報加工について基準を満たせる事業者を認定する制度を創設した。この法律、制度に基づき、基準を満たした加工方法を認定事業者が行う場合において、第三者に提供することを認めている。

更新日:2021/09/05

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