デジタルヘルスとは
日本では「デジタルヘルス」と呼称されるが、その元となる英語は「Digital Healthcare」である。つまり端的に言えば、情報通信技術、デジタル技術を活用したヘルスケアという意味になる。ヘルスケアとは一般に、健康維持や増進のための行為、健康管理のことを指す言葉だが、ここ近年、実際としてはフィットネスといった健康な人の活動や予防のための取り組みから、疾患からの回復を目指す医療行為まで幅広い範囲を指すようになっている。すなわち改めて「デジタルヘルス」を定義するなら、デジタル技術を活用し、予防から治療、回復まで、健康を維持あるいは取り戻すためのすべての行為と言えるだろう。
デジタル技術が高度化するにつれ、ソフトウェア、ハードウェアともに長足の進歩を遂げ、デジタル以前とは比べものにならない量の情報をやり取りすることが可能になっている。この状況に合わせ、医療機関で使われている電子カルテ(EHR=Electric Health Record)や検査値、医用画像だけでなく、個人が自身の健康に関する記録を容易に管理できるようになったり(PHR=Personal Health Record)、またそうした豊富な情報を解析し、健康管理や診断支援が行える人工知能(AI)が登場するなど、近年のデジタルヘルスはさまざまな場面で人々の健康、そして医療を実際に支えられるようになってきている。